2014年08月01日

がん細胞を作るのは大変

こんにちは、培養士Bです。


以前、患者様からの問い合わせで、”培養しすぎて自分の細胞ががん細胞になってしまうのでは?”という問い合わせがありました。
STAP細胞が発表された当初、iPS細胞はがん化のリスクが高いなどという報道もあり、自分の細胞ががん細胞になってしまうのではと心配なさる方が多かったのかもしれません。

初期iPS細胞では初期化するためにガン遺伝子を使っていましたが、今ではガン遺伝子以外の問題ない遺伝子で初期化できるそうですし、
再生医療や創薬に応用するために日々研究は続けられています。
当クリニックで培養しているヒト真皮繊維芽細胞も、がん細胞になる心配はございません。


がん細胞=不死化細胞で使われることがありますが、ここでは分けてお話します。
まず、不死化細胞の性質として


・無限増殖力
・死なない(アポトーシス誘導されない)
・細胞周期やシグナル伝達など正常細胞と異なる


などがあげられ、当クリニックで培養しているヒト真皮繊維芽細胞を継代培養のみで不死化細胞にすることは不可能だと思います。
主な不死化細胞の作成方法として、

1.癌組織より単離
2.癌遺伝子を導入する(SV40 largeTやEppstein Barrウィルスなど)
3.hTERT(テロメアを長くする)遺伝子を導入する
4.細胞培養中の自然発生的な形質転換

などがあげられますが、
1.に関しては、癌組織を採取することはありませんし、不死化細胞を作るための2,3のような遺伝子・試薬などは当クリニックでは有しておりません。
4.に関しても、正式な不死化の定義はありませんが、長い期間にわたって(通常最低でも3カ月間)培養可能となった細胞集団を不死化と定義しているところがあります。


当クリニックで既に治療をされている方はおわかりだと思いますが、細胞抽出にかかる期間は1ヶ月程度です。
治療に使われる細胞の継代数も決められており、不死化細胞になるような長期間培養も行っておりません。
患者様に注入する細胞は極めて安全と言えます。


また、不死化細胞が人体に入ったとしても、腫瘍をつくらないこともあり、必ずしも不死化細胞が体内でがん細胞になるとはいえません。


以上の理由により、皆様の治療に使われる細胞が不死化細胞になることはありません。
むしろ、不死化細胞を作ることの方がとても大変なのです。

難しい話になりましたが、皆様、安心して治療に臨んでくださいね。


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2014年07月29日

抗生物質のリスク

こんにちは、培養士Bです。


 
今日は抗生物質についてです。
抗生物質は細菌を殺すお薬ですので、細菌性の病気には非常に効果があります。
抗生物質が発見され、使われるようになって医学は大きく発展したといわれています。


 
しかし、そんな抗生物質にも服用の際は注意が必要ですし、デメリットもあります。

1.副作用
・下痢
・常在菌まで殺してしまう
・アナフラキシーショック
・耳鳴り
・けいれん・・・・etc


 
2.耐性菌が増える
これは先進国が故の問題点ですね。先進国は薬をよく使うのでその分、耐性菌が発生しやすくなるのです。
細菌も生きていますので滅びないよう必死になり、耐性菌→新たな抗生物質→耐性菌といたちごっこになってしまいます。


”カルバペネム”という抗生物質は広域の細菌に作用し、最強の抗生物質とよばれているそうです。
そんな最強の抗生物質が効かない腸内細菌がアメリカで出現し始めたそうです。なんと、最大で致死率50%にもなるのだとか。


細胞培養でも細菌の感染・増殖を防ぐために抗生物質を入れた培地で培養しますが、一般的に抗生物質を入れた培地で長期間細胞を培養するのはよくないとされています。なぜかと言いますと、人体と同じで耐性菌が発生しやすくなってしまうからです。

その他に抗生物質のリスクとして

・抗生物質使用による無菌操作の軽視
・複数の抗生物質使用による細胞障害性の発生
・抗生物質の哺乳動物細胞への影響

などがあげられます。
また、使用する抗生物質の濃度が低すぎると、効果がありませんし、高すぎると細胞に悪影響が出てきます。
使用する場合は、適切な濃度・量での培養が必要となります。


病院で処方されたお薬も同様に、必ず決められた用法、用量を守って服用することが大切になります。
菌の作用が弱まる日数を考えて処方されているので、処方日数分は必ず服用しなければ、正しい効果を得ることができません。

人の体も細胞も、抗生物質を使用する際は、使用上の注意を守って使う必要がありますね。
でもその前に・・・
お薬に頼らず、日々健康でいることが大切ですね。
毎日のご自身の生活を少し振り返ってみるのも良い機会かもしれません。


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2014年07月21日

細胞の住むお部屋

こんにちは、培養士Bです。


 
細胞を培養する機械があります。一見冷蔵庫のようにみえますが、インキュベーターと呼ばれます。
概ね、5%二酸化炭素濃度に保たれているので、5%CO2インキュベーターとも呼び、細胞の住むお部屋となるところです。


ヒトの深部体温は37℃前後ですので、細胞も培地ごとに37℃に温める必要があります。
皆様の細胞も37℃、5%CO2インキュベーターの中に入り、最適な環境下ですくすくと育っています。



 
インキュベーター↓
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yjimage[6].jpg

皆様の細胞を培養しているこのインキュベーターは、とても優秀で、インキュベーター内の加湿バッドの水が少なくなったらランプが点灯しますし、CO2ガス濃度、温度変化のログがいつでも確認できます。エラーが起こった際はアラームで知らせてくれます。


皆様の細胞を育て、見守ってくれているインキュベーターですが、このインキュベーターがコンタミネーション(汚染)をおこすと非常に問題です。
コンタミネーションが起こった場合は、原則としてインキュベーター内の細胞は全て破棄したほうがいいとされています。
この機械を滅菌装置(病原体や微生物を死滅させる機械)にかけることはできません。
その為、いくらきれいに磨いても菌が残ってしまうのです。


コンタミネーションは

・不完全な無菌操作
・汚染された細胞
・汚染された容器・器具・培地・試薬
・作業者自身

などが原因で起こります。


学生時代、使ってはいけない魔のインキュベーターの噂がありました。
動物細胞専用のインキュベーターに、カビを培養したものを入れてしまったことが有ったようで、培養中の動物細胞が全てコンタミネーションしてしまったそうです。


その後、何度清掃してもコンタミネーションの犠牲者がでるというものでした。
培養仲間からはインキュベーター内に週に1度カビが発生するので、毎日清掃しなければならないとも聞いたことがあります。
作業者が未熟なのか、インキュベーター内の汚染が取り除かれていないのかわかりませんが、とても恐ろしい話です。


コンタミネーションは現代の設備や物品、試薬ではほとんど起こりません。
当クリニックにお預けいただいている皆様の細胞は、培養士とインキュベーターでしっかりと見守っておりますので、ご安心ください。


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