2015年03月24日

細胞のかたち

こんにちは、培養士Bです。


細胞の形は、一言でいうとどのような形をしていますか?と聞かれた場合、皆様はどのように答えますか?
私は返答に困ってしまいます。

なぜなら、細胞の形は様々だからです。
赤や青、オレンジなど様々な色をしたパプリカを、何色か?と聞かれているのと同様に、
”細胞”という大きなくくりで答えるのは難しいのです。


ここからは、様々な形の細胞の写真をご紹介します。
これらを見ただけでも、多様な形態があることをご理解いただけると思います。
例えば、神経細胞は下の写真のように球根から根っこが伸びたような形をしています。


↓神経細胞









根っこのような部分(樹状突起)から刺激を受け、その刺激を幹のような部分(軸索)から球根のような部分(シナプス)を介して次の神経に電気信号を伝えています。情報を伝達するという役割からこのような形になったと考えられています。



続きまして、血球細胞です。↓

血液の細胞で、体を循環しますので、このような丸い形をしています。接着はせず、ぷかぷかと浮遊しています。
この血球細胞とは逆に、当クリニックで培養している繊維芽細胞は下の写真のように手足を伸ばして、地面に張り付いています。



↓繊維芽細胞





13-M5_通常処理_3F_lot違い3D(未非働化).jpg


同じ繊維芽細胞でも酵素処理をしてはがすと、下の写真のように細胞が丸くなります。


T-25_count.jpg



↓この細胞は繊維芽細胞同様、接着系の細胞です。
繊維芽細胞も、このように一生懸命足を伸ばしてコラーゲンを生成しています。


下記写真も全て細胞の写真です。


↓HeLa細胞




ヒトから初めて株化された細胞です。
子宮頸癌で亡くなった30代黒人女性の腫瘍病変から分離され、株化されました。
原患者氏名ヘンリエッタ・ラックスからHeLa細胞と命名されました。実験などでよく使われる代表的な細胞です。


↓iPS細胞




誰もが知っている細胞です。日々臨床への応用に向けて研究が進んでいます。
早く実用化されるといいですね。



このように、細胞と一言で言っても、実に多くの種類があり、それぞれが重要な役割を担っています。
色々な形のある細胞って、本当にすごいですね(^^)




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posted by JYC STAFFS at 14:10| 東京 ☁| Comment(0) | 細胞のはなし | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年02月16日

液体窒素の中でもコンタミの危険!?

こんにちは、培養士Bです。



以前、院長ブログ”なぜ肌再生治療の細胞保管料は高額なのか?https://www.jyoshida.jp/article/detail.php/1049/128516”に、当クリニックで使用している液体窒素保存装置の話がありました。
今回は液体窒素保存装置について、更に説明したいと思います。



液体窒素保存装置には2種類の保存方法があります。

・液相
・気相

読んで字のごとくなのですが、
−196℃の液体中(液相)に保存するか、
−196℃の気体中(気相)に保存するかの違いがあります。

当クリニックでは気相式の液体窒素保存装置を使用しており、利点としては汚染のリスクが低いことが挙げられます。



皆様はマイコプラズマという細菌をご存知でしょうか?
ヒトに直接もたらされる被害としては”マイコプラズマ肺炎”が有名です。

培養室でも、このマイコプラズマはとても迷惑な存在です。
細菌界で最も小さく、通常の細菌が通ることの出来ないフィルターを通過してしまいます。
更に、感染しても、肉眼での判別はできません。
(詳しくはゴミゼロの日http://jycstaff.seesaa.net/article/398055268.htmlをご参照ください。)



持ち込まれやすく発見しにくい細菌の為、細胞培養における研究施設等での汚染の割合は15〜35%、汚染率の高い国では80%が汚染されているとも言われています。
※当クリニックでは、注入の前にマイコプラズマを含めた細菌汚染の有無を検査いたしておりますので、どうぞご安心ください。



では、マイコプラズマに感染した細胞を液体窒素に保存すると、一体どうなるのでしょうか?


気相式では汚染拡大の心配はありませんが、液相式ではそうはいきません。
細胞を保存しているチューブをしっかり締めれば大丈夫なのでは?と思うかもしれませんが、
蓋がねじ式のチューブでは超低温下で容器が収縮する上に、チューブ内が陰圧となり蓋の間に溝ができます。
これではマイコプラズマに汚染された液体窒素がチューブ内に入り込んでしまい、細胞が汚染されてしまいます。



以前は、液相式より気相式の方が温度が高くなってしまうという欠点がありました。
現在では-190℃近くまで温度を下げることのできる気相式の保存装置が開発され、注目されるようになってきています。
実際に装置の温度チェックを毎日行っていますが、常に超低温を維持しています。



気相式は液相式に比べ液体窒素の消費量が多い印象をもちます。
その分コストもかかりますが細胞の安全が最優先ですので、私は気相式の保存方法がベストだと思います。
大学など液相式を使用している所がまだまだ多いですが、汚染のリスクなどを考えると早く気相式に切り替わってほしいですね。






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posted by JYC STAFFS at 19:12| 東京 ☀| Comment(0) | 細胞のはなし | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月17日

時間通りじゃ駄目なんです

こんにちは、培養士Bです。



付着系細胞をフラスコからはがす際、酵素液等につけて剥がします。
では、皆様は以下のどの方法が良いと思いますか?



1.酵素液等につけすぎるのは細胞に良くないので、酵素液等を添加したらすぐフラスコを叩いて無理やり細胞を剥がす。

2.酵素液等を販売しているメーカーの手順書に”5分程度”と記載されているので、5分経過したら、細胞が一部残ってもフラスコを叩いて細胞を剥がす。

3.細胞の状態を見て剥がすのが一番なので、時間を決めずに細胞が丸くなったら、フラスコを叩いて細胞を剥がす。



私は、3番の方法で細胞を剥がします。
以前勤めていたところでは、
”酵素液につけすぎるのは細胞に良くないので、○分経ったら一度フラスコを叩き、細胞が多く残っているようならもう少し置き、再度フラスコを叩いて剥がしなさい”
と1番、2番が合わさったような方法を教わりました。



私はその方法にとても抵抗がありました。
何故なら、教わった方法をとると細胞がぐったりしてしまうからです。
細胞はフラスコから剥がれると丸くなるのですが、無理やり剥がされた場合アメーバー状なり、死滅する細胞も多くなってしまうのです。



更に、酵素液につけておくのは細胞に悪いとしながら、一度叩いて剥がした細胞を回収せずに置いて待つのは、せっかく剥がれた細胞に害を与えるだけで、矛盾しています。



しかし、郷に入っては郷に従え、ということで疑問を抱きつつも指示通りに行っていると、
”時間で細胞を剥がすのはよくない、細胞の様子をみて剥がしたほうがいい”と教えてくださったのが、今の上司です。



その他にも、細胞をカウントするときは計算盤に○○個以上、細胞がのるように調製しなさい、必要でないクリーンベンチ内の試薬はすぐに片付けて、クリーンベンチ内を広く使えるようにしなさいなど、様々なことを教わりました。



昨年末、細胞培養基盤技術コースTという講習に参加しました。その際、講師の先生方も細胞の様子を見て、細胞を剥がすようにとおっしゃっていました。
やはり、3番のやり方のほうが良さそうですね。



メーカーの手順書に、5分程度と書いてあるのであれば、それに従ったほうがいいのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、手順書に書かれている時間はあくまで目安です。

酵素液は様々な細胞に使われます。3分で剥がれる細胞もいれば、7分で剥がれる細胞もいます。
それら全てを手順書に書くことは難しいため、”5分程度”としているわけです。
メーカーにお勤めの講師の方も講習会にいらっしゃいましたが、その方も、細胞の様子で判断するようにと仰っていました。



時間で区切られた方が楽ですが、それでは人間が培養する必要がないように思ってしまいます。
細胞の”顔”をしかっり見て処置を施す。やはり人の手が必要ですね。
当クリニックの細胞達の”顔”もしっかり見ておりますので、ご安心ください。


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posted by JYC STAFFS at 18:58| 東京 ☀| Comment(0) | 細胞のはなし | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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