2014年09月20日

9/9 食べ物を大切にする日

こんにちは、培養士Bです。

今日は食べ物を大切にする日です。


 

『食べもの大切運動』に取り組んでいる一般財団法人 ベターホーム協会が制定しました。

日付は健康長寿を祝う重陽の節句が9月9日であることと、食べものを"捨てないん(9)""残さないん(9)"の語呂合わせから来ています。

「食べものを大切にして、健康に」という願いも込められているそうです。



−日本は食べ物を大切にしない国−


輸入大国日本は、廃棄大国でもあります。

日本の食品の半分以上は、世界から輸入したものですが、年間 5500万トンの食糧を輸入しながら、1800万トンも捨てていると言われます。



そのうち年間500万トン〜800万トンの食品ロスがあると推計されています。
食品ロスとは、食べられる食料を捨ててしまう行為を指します。

この年間500万トン〜800万トンいう数字は、1人1日おにぎり1〜2個分の量に相当します。

 

−食料廃棄率No.1は日本−

日本の食品廃棄量は1940万トン、アメリカの食料廃棄量は3300万トンとアメリカのほうが食料廃棄量が多いですが、1人あたりに換算すると、アメリカ105kg/人、日本152kg/人と日本のほうが多くなります。
お金に換算すると年間11兆円も無駄にしている計算になります。


−日本の食品ロスは世界の食糧援助量の約2倍− 

世界では毎年約1500万人もの人が餓死しています。

世界の食品援助量は390万トン、日本の食品ロスは500万トン〜800万と捨てる量がはるかに多いことがわかります。

また、日本の家庭ごみの割合は60%と高く、約1000万トンが家庭から捨てられています。

この1000万トンいう量は5000万人分の食料になるそうです。



他国から日本に来た方が、”日本の電車は遅刻しない、時間通りに来る”と言います。
それは日本人のきっちりした性格だからできることかもしれません。
しかし、このきっちりした性格が賞味期限を境に食品を捨ててしまう行動につながっているのかもしれません。



−消費期限と賞味期限の違い−

・消費期限
開封していない状態で、なおかつ表示されている方法により保存した場合において、食べても安全な期限を示しています。

期限を過ぎたら、食べない方が良いとされています。


・賞味期限
開封していない状態で、なおかつ表示されている方法により保存した場合において、おいしく食べられる期限を示しています。

期限を過ぎても、すぐに食べられないということではありません。


 

現在、食糧廃棄量が多い日本やアメリカでは、フードバンクという取り組みを行っています。
フードバンクとは食品企業の製造工程で発生する規格外品などを引き取り、福祉施設等へ無料で提供するという活動です。
その他にも、食品をリサイクルしたり、食品の流通・消費で出る売れ残りや食べ残しに抑制の目標値を設定しています。



昔から米一粒に七人の神様がいるといわれ、食べ物を粗末にすると叱られた記憶のある方もいるかもしれません。
私自身も家庭ごみを見直して、食べ物を大切にするよう努めたいと思います。


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培養作業の話@

こんにちは、培養士Bです。


毎日培養をしていると、単調な作業に慣れてしまって緊張感なんてないのでは?
と思われがちですが、そんなことはありません。




皮膚採取をしてから遅くとも3日以内で細胞が皮膚片から出始めるため、皮膚採取翌日、翌々日などはとても緊張します。



以前他のクリニックで起きたトラブルですが、
皮膚を真皮と表皮に分ける際、細胞を痛めてしまい5日たっても皮膚片から細胞が出てこなかったことがあったそうです。
その後培養を継続しても、状態のいい細胞ではなかったという話を聞いたことがあります。



私はそういったトラブルの経験はありませんが、上記のような事例もあるようですので油断は禁物です。


最近、私の担当になった患者様がいます。皮膚採取後緊張の面持ちで観察すると、2日目で細胞が出始めました。



採取後1週間目の写真↓
図.png



これで安心してはいけません。
細胞をはがす際に細胞が傷ついてしまったら・・・
増殖の途中で細胞の状態が悪くなったら・・・
解凍した細胞が起きなかったら・・・


など、考えられることは沢山あります。


作業中の汚染のリスク、細胞の様子などを考えると何年経っても緊張感は無くなりません。
患者様の細胞を大切に扱うためにも、初心を忘れることなく日々作業しております。
皆様、どうぞご安心ください。


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2014年09月05日

100℃で加熱しても死なない!? 菌の恐怖と恩恵

こんにちは、培養士Bです。



梅雨から夏にかけて食中毒が多い時期といわれています。
厚生労働省に報告があった食中毒事例(2014年9月2日まで)では、
冬(1、2月):約4500人
春(3、4、5月):約3500人
夏(6、7、8月):約750人

と意外なことに夏場が少ないように見えます。



”報告があった”食中毒事例ですので、報告漏れや家庭での食中毒などカウントされてない可能性もあります。
また、暖房設備の発達により細菌が増殖しやすい環境が増えたため、冬でも食中毒が多く見受けられるようです。
いずれにしても、オールシーズンで食中毒に気をつけた方が良いということになりそうです。



今年の食中毒者は約9700人(2014年9月2日の段階)
そのうち、ウィルスによる食中毒者が約6700人、細菌による食中毒者が約2300人にものぼっています。



幸い死亡者は出ていないようですが、ボツリヌス菌の食中毒は致死率30%とも言われていますし、十分注意が必要です。


家庭でできる消毒・殺菌で思い浮かべるのが、煮沸消毒や消毒薬を使った薬品消毒などがあると思います。
小さなお子様のいるご家庭ですと薬品に対して抵抗が強いと思いますので、煮沸消毒を選択する場合が多いかもしれません。



しかし、100℃で加熱しても死滅しないウエルシュ菌という困った細菌も存在します。
このウエルシュ菌はクロストリジウム属に属する嫌気性桿菌です。


↓ウエルシュ菌







ウエルシュ菌による食中毒は、カレーや煮物などまとめて作って長時間保管する食品でよく起こります。
一度加熱して、菌自体は死んでも芽胞という細胞構造を残します。
芽胞は非常に耐久性が強く、100℃で6時間熱し続けても壊れないものまでいるのだとか。



芽胞は室温にもどり、生育しやすい環境になると発芽し再び増殖を始めます。
その為、作りおきの料理で多く発生するのです。



”100℃で熱しても死滅しないなんて、恐ろしい!!”と思う方もいるかもしれません。
しかし、こういった熱に強い菌のおかげでバイオテクノロジーが発展したという一面もあります。



それが、PCRです。ポリメラーゼ連鎖反応の略で、遺伝子を増幅させる手法です。
DNA鑑定という言葉を耳にしたことがあると思います。
このDNA鑑定はPCRの手法を利用しています。



PCRという手法はキャリー・バンクス・マリス博士によって発明されました。
マリス博士が彼女のジェニファーを乗せてのドライブ中、PCRのアイデアが彼の頭の中で突然浮かびました。この閃きに自分でも驚き車を路肩に寄せて、手元にある紙片に化学式を書き留めたそうです。



それまで、主な遺伝子を増幅する方法として大腸菌を使用していました。
大腸菌の中に解析したいDNAを組み込み、大腸菌を一生懸命増やしてDNAの量を増すという大変手間のかかる作業です。
大腸菌の増殖にも時間がかかりますので数日を要します。

PCRですと半日もかかりませんので、いかに画期的かがおわかりいただけると思います。


PCRでは、まず2重らせん構造をもった遺伝子を約90℃以上の高温で1本鎖にわけます。
1本鎖に分けた後増やしたい遺伝子部分をDNA合成酵素を使って増やしていくのですが、PCR発明以前では遺伝子を2本鎖から1本鎖に分ける段階で、高温による酵素失活がおこってしまいました。


そこで、マリス博士は高熱性の細菌から得たDNA合成酵素をつくり、PCRに革命を起こしたのです。


細菌に限らず、酵母は発酵食品を作るのにかかせませんし、カビは最初の抗生物質として知られるペニシリンを分泌しました。
ウィルスにガンを退治させるウィルス療法という研究も進んでいるそうです。



菌の恩恵のに感謝しつつ、食中毒には十分留意し残りわずかな夏も乗り切っていきましょう。

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